
当院が勝田台に開院してから、33年が経ちます。2013年に私が継承し、北口の現在地へ移ってからも、地域の皆様に支えられて歩んでまいりました。
その間、歯科の医療機器は着実に進歩してきました。しかし歯周病の治療については、長らく変わらなかったことがひとつあります。
歯ぐきの奥は、見えないままだったということです。
当院では、歯周ポケットの内部を映し出す「歯周内視鏡(グローリースコープ)」を導入しました。日本歯周病学会の歯周病専門医として歯周病治療に取り組んできた立場から、これは長く待っていた道具だと感じています。
このページでは、この機器で何ができて、何ができないのかを、できるだけ正直にお伝えします。

はじめに、なぜ私が歯周病治療にこだわるのかをお話しさせてください。
日本人が歯を失う原因の第1位は、むし歯ではなく歯周病です。そして近年は、糖尿病・高血圧・心疾患・脳梗塞・認知症といった全身の病気との関連も指摘されています。
歯ぐきの中で続く慢性的な炎症は、そこだけにとどまりません。歯を守ることは、結果として全身の健康を守ることにつながります。
だからこそ、「歯周病が治りきらない」という状態を、そのままにしておきたくないのです。

歯周内視鏡は、直径1.2mmの細いカメラを歯周ポケットに差し入れ、歯ぐきの内側の様子をモニターへ映し出す医療機器です。
水を流して視野を確保しながら、歯の根の表面や、そこに付着した歯石をリアルタイムで観察します。歯ぐきを切り開くことなく、内部を目で確かめられます。
当院が使用しているのは「グローリースコープ」です。
| 販売名 | グローリースコープ |
|---|---|
| 一般的名称 | 歯科用口腔内カメラ |
| 医療機器届出番号 | 13B1X10394250001 |
| カメラ挿入部の直径 | 1.2mm |
| 有効長 | 330mm |
| カメラを覆うシース | 滅菌済み・使い捨て(患者様ごとに交換) |

歯周病治療の中心は、歯周ポケットの奥に入り込んだ歯石と細菌を取り除くことです。「SRP(スケーリング・ルートプレーニング)」と呼ばれる処置です。
ところが、この処置の対象は歯ぐきに覆われて見えません。術者は器具の先から伝わるかすかな引っかかりを頼りに、そこに何が残っているかを推測します。
私自身、歯周病専門医として研鑽を積んできましたが、それでも「取りきれたと判断すること」と「取りきれたと確認すること」は違うという感覚を、ずっと持ち続けてきました。
残った歯石は、細菌のすみかとしてその場に居座ります。何度治療しても同じ場所が腫れる。落ち着いたのに数か月で戻る。その一因が、この見えなさにあります。

そこで行われてきたのが、歯ぐきを切開してめくり、直接目で見ながら清掃する歯周外科手術です。
確実な方法ですし、当院でも必要と判断すれば実施します。ただ、外科処置である以上、お身体への負担があります。「手術と言われて、それきり通院が途切れてしまった」という方に、私は何人もお会いしてきました。
歯周内視鏡は、この2つの間にある方法です。
カメラを歯周ポケットに入れて、内部を映す。切開せずに、確認できる。推測していた部分を、事実として把握できるようになったというのが、使ってみての率直な実感です。
| 従来のSRP | 歯周外科手術 | 歯周内視鏡を用いた処置 | |
|---|---|---|---|
| 歯ぐきの中の視認 | できない(手の感覚) | できる(切開して直視) | できる(モニターで確認) |
| 歯ぐきの切開 | なし | あり | なし |
| 治療内容の記録 | 難しい | 難しい | 静止画・動画で記録可能 |
| 患者様への説明 | 言葉と模型が中心 | 言葉と模型が中心 | 実際の画像を一緒に確認 |
| 保険適用 | 一部保険適応 | あり | 自由診療 |
念のため申し添えますが、内視鏡は「見るための道具」であって、歯周外科の上位互換ではありません。
歯を支える骨が大きく失われている場合、骨を回復させるためには外科的な再生療法のほうが適しています。当院が内視鏡を導入したのは外科的処置をやめるためではなく、外科的処置が必要かどうかを、より確かな根拠で判断するためです。
観察によって、次のような情報が得られる場合があります。
レントゲンには写らないものが、ここには映ります。
「この歯だけ、なぜ治らないのか」という問いに対して、推測ではなく所見でお答えできる場面が増えました。
※ポケットが浅い部位や、器具が届きにくい部位では十分な観察が難しい場合があります。すべての歯に等しく使えるわけではありません。
レントゲン、歯周ポケットの測定、口腔内写真により現状を把握します。そのうえで、内視鏡を用いる必要がある部位かどうかを判断します。
まずは歯みがき指導と通常の歯石除去から始めます。歯ぐきの炎症が強いと出血で視野が確保しにくく、観察が安定しません。いきなり内視鏡を使うことはありません。
必要に応じて麻酔を行い、水を流しながらモニターで確認し、超音波器具や手用器具で歯石を除去します。処置中の映像は記録できます。
歯ぐきの反応を検査で確認します。改善が不十分な部位については、外科処置や再生療法をご相談します。
担当の歯科衛生士が継続してお口を見守ります。歯周病は、治療より維持のほうが長い病気です。
一方、歯周ポケットが浅い場合や、すでに歯を支える骨の大部分が失われている場合には、この方法の適応は限られます。使わないほうがよいと判断したときは、その理由をお伝えします。

当院には、日本歯周病学会および日本臨床歯周病学会の認定歯科衛生士が在籍しています。
歯周病治療は、歯科医師ひとりで完結する医療ではありません。日々の処置とメインテナンスを担う歯科衛生士の力量が、そのまま結果に表れます。
内視鏡の映像は、私と歯科衛生士が同じ所見を共有するための手段でもあります。言葉で伝えていた情報を、画像として正確に受け渡せるようになりました。患者様にとっては、担当者が変わっても同じ判断で診てもらえる、ということでもあります。

院長 尾崎 聡
(おざき さとし)
歯科医療も医療機器も、日々進歩しています。当院はその時々で最善と考えられるものを取り入れながら、この街で歯を守り続けていきたいと考えています。
| 費用(税込み) | 1時間:22,000円 (1時間で概ね2、3本処置します) |
|---|---|
| 治療期間 | 約2週間〜3週間 |
| 治療回数 | 2回〜3回 |
必要な回数と総額は、治療開始前にお見積りとしてお示しします。ご納得いただいてから始めますので、費用面の疑問も遠慮なくお尋ねください。
治療前のご説明で、あらためて詳しくお伝えします。
痛みますか?
状態に応じて局所麻酔を行います。歯ぐきを切開しないぶん、外科手術より負担は小さくなりますが、まったく痛みがないとお約束するものではありません。痛みが不安な方は、事前にお申し出ください。
保険は使えますか?
歯周内視鏡を用いた処置は自由診療です。ただし、その前段階の検査と歯石除去は保険診療で行える場合があります。
何回くらい通いますか?
歯周ポケットの深さと対象となる歯の本数によります。検査の後、回数の目安をお伝えします。
これを使えば手術を避けられますか?
避けられる場合がありますが、すべての方に当てはまるわけではありません。骨の失われ方によっては、再生療法など外科的な処置のほうが歯を残せる可能性が高いこともあります。診査の結果に基づいて、率直にご提案します。
カメラは他の患者にも使ったものですか?
カメラを覆うシースは滅菌済みの使い捨て製品で、患者様ごとに新品へ交換します。歯ぐきに挿入する器具は使用のたびに洗浄・滅菌しています。
撮影した画像を見せてもらえますか?
はい。処置中の画像・動画は記録できます。ご希望があればご説明の際にお見せします。
他院に通院中ですが、相談だけでも大丈夫ですか?
かまいません。現在の状況を伺ったうえで、当院でできること・できないことを正直にお話しします。
車で行けますか?
駐車場がございます。詳しくは医院までお問い合わせください。
歯周病は、痛みが出る頃にはかなり進行していることの多い病気です。逆に言えば、痛くない今のうちに手を打てば、残せる歯があります。
「もうダメかもしれない」と諦めていた歯について、まだお話しできることがあるかもしれません。
当院で使用している歯周内視鏡「グローリースコープ」は、医薬品医療機器等法に基づく届出がなされた一般医療機器です(医療機器届出番号:13B1X10394250001)。製造販売業者:株式会社モリムラ。