日々治療に従事しておりますと、歯科医院を「歯の痛みを取る場所」「虫歯を治す場所」とお考えになっている方が多くいらっしゃる様に感じます。
確かに、それも大きな通院目的の一つだと思いますが、私は歯医者に通院して頂く最大の目的は「抜いてしまったら二度と生えてこない」「削ってしまったら元には戻らない」この唯一無二の「歯」を1本でも多く残し、健康な口腔内を維持する事だと捉えております。
原因は、
の3つが大部分を占めています。
中でも最も多い原因は歯周病であり日本人の歯の喪失理由の半数以上を占めます。
また原因の中に「加齢」という文字は有りません。加齢で歯を失うことは無く、年を重ねる間に歯周病や虫歯に罹患し、徐々に力のバランスが崩れ多くの歯を失っているのです。
”3つの原因に対するリスクをしっかりコントロールする事によって、歯は守られる”ということが分かります。そのリスクは知恵の輪の様に複雑に絡まっている事が多く、ひとりひとり違ったリスクのコントロールをしていかなくてはなりません。
患者様の病態に適した診断・治療をおこない、治療後も注意深くメンテナンスをしていく事が重要です。その結果「歯」はかなりの確率で生涯にわたり口の中で活躍してくれます。
歯は1cm前後の小さな組織です。そこに出来る虫歯はさらに小さく初期の虫歯は1mmにも満たない小さな疾患であるため、 肉眼で的確に虫歯だけを過不足無く取り除くは不可能です。
今までは、虫歯部分を該当箇所よりも大きく削る事で、取り残しを防いでいました。 しかし、大きく削ることにより弊害も出てしまいます。進行した虫歯を取り残しのないよう大きく削ると、歯の神経が露出してしまい、 神経の処置が必要になってしまう事が多々ありました。
当院では削る部分を最小限に留めるため、マイクロスコープを使用した治療を取り入れています。 実際の虫歯を10〜20倍に拡大することで可及的に虫歯の部分のみ除去する事ができるようになり、 虫歯の取り残しによる虫歯の再発や、取りすぎによる神経の露出の確率を大幅に削減する事が出来るようになりました。
またマイクロスコープと特殊なセメントを使用する事により、神経が露出しても感染の強い神経だけ取り除き、感染がないと思われる部分の神経を温存することも可能に。 歯にとって、低侵襲の治療が可能になり、歯の長期保存を実現しました。 現在は保険適応になっていない治療の為、自由診療となります。歯を1本でも多く残し、歯にとって低侵襲の治療をご希望の方は気軽にご相談下さい。
通常、歯周病で無くしてしまった骨は治療しても回復しませんが、再生医療が進み失った骨を再生する事が可能です。少しでも良い状態で歯を保存する事は、長期的な安定につながります。
歯周病は歯を支えている骨(歯槽骨)が吸収してしまう病気です。1度失った歯槽骨は歯周治療を行っても、基本回復しません。
骨が吸収した部分は歯周病菌の繁殖の温床となり、歯周病が更に悪化してしまいます。現在は、再生医療が進み、程度によりますが骨を再生させる事ができます。無菌豚の歯の卵から採取したタンパク質を使用する事によって再生させる事ができます。
一見、治療終了は通院のゴールのように見えますが、「歯を守る」という視点から見ると、そこがスタートなのです!
そして1日でも長く質の高い食生活を営めるよう、歯を守る場所として当院を利用して頂ければ幸いです。
楽しい食生活を営める喜びを共有でき、診療の先に人としての関わりが見える病院で有り続けたいと考えております。コミュニケーションに重きを置いて診療をしておりますので、何でもご相談下さい。